日本が太平洋戦争に勝つためには?

歴史にイフは、無いと言う人が居ますが、未来
を変える歴史の転換点を研究することは、歴史
を振り返る一つの学問といえます。
太平洋戦争終結から80年の今年。軍民合わせ
て300万人以上の死者を出した悲劇を振り返
ってみることは、大事なことです。
あの壊滅的な終戦から、一時はGDP世界2位
まで上り詰めた日本。
実は、少し歴史を修正するだけで、太平洋戦争
に勝てたかもしれないと言ったら「えっ?」と
思う人が多いのでは、無いでしょうか。
今回は、太平洋戦争に勝つための歴史の転換点
について書いてみたいと思います。
日中戦争を回避する
満州事変、そして盧溝橋事件に端を発した日中
の武力衝突。互いに、アメリカを気にして宣戦
布告無しの事変と称した日中戦争。
日本は、ソ連の策謀にまんまと引っかかり果て
しない大陸での泥沼の戦争に足を突っ込んでし
まいました。
太平洋戦争開始までに約20万人の戦死者と膨
大な予算と資源を費やします。
日本は、満州事変で満州国を建国するあたりで
防衛のみに徹して戦線を拡大するべきでは、あ
りませんでした。
この戦争は、軍部の暴走が原因です。戦争を避
けるためには、軍部を抑える強い政治力が必要
でした。
しかし、当時は、世界恐慌の余波で、日本の特
に農村部の貧困は、著しく、政府も具体的な方
策を見いだせずに勇ましい考えの軍部に押され
ていたのが実態です。
満州国の建国は、そんな日本のガス抜きと移民
促進のためには、必要でした。
そして、南下するソ連軍に対する防衛拠点とし
て重要な意味を持っていました。
そこで、歴史のイフですが、戦闘行動は、中国
北部のみに限定して、満州国建国のみに注力し
ます。そして、満州国にアメリカの資本を呼び
込み共同開発を持ちかけるのです。
この際、史実では実現しなった「河豚計画」を
実行します。これは、欧州で迫害されていたユ
ダヤ人を満州に移住させる計画です。
これは、1924年頃の酒井勝軍によるシオニ
ズム支持活動が背景にあるといわれています。
人道主義を謳い文句に、満州国を国際連盟に認
めさせます。
そして技術者中心にユダヤ人を移住させ日本の
技術力を高めます。
ソ連の謀略には、諜報機関を強化して徹底して
中国の共産化を防ぎます。
匪賊(中国の武装ゲリラ)や共産党軍に対して
は、蒋介石に協力する形で満州地域周辺に限定
して軍事的討伐を行い実戦経験を積ませます。
当時の中国は、各地に軍閥がいて、その中に共
産党も蠢いていました。日本が、戦争をしなく
ても中国内は、内戦の嵐です。
誰が中国を治めるかで熾烈な争いが起きていま
した。
日本は、それを情報収集と中国の租界地の日本
人防衛のみに専念するのです。決して戦争に深
入りしては、いけません。
内戦状態を高みの見物と決め込み、特に有力な
国民党の蒋介石へ、アメリカと一緒に武器や物
資を供給します。
つまり戦争特需に与ろうということです。
これで、日本の景気は、回復して中国で発生す
る犠牲や浪費も防げます。
その余力をもって、軍の近代化を進めます。
まず、対ソ連を意識した機械化部隊の整備。
史実の97式中戦車は、一回り大きくして装甲
も厚くし主砲も75ミリクラスにします。
そして戦車に随伴する装甲兵員輸送車もドイツ
に倣って整備します。
このころ、すでに中国が輸入して使っていたチ
ェコスロバキア製の軽機関銃や自動小銃をコピ
ーして国産化します。
これは、現実に日中戦争で鹵獲しその優秀性か
らチ式軽機関銃として弾薬も製造して制式採用
していたくらいです。
軽機関銃と重機関銃は、威力を重視してドイツ
の7.92ミリを採用します。
重機関銃は、長時間射撃が可能なベルト給弾方
式にします。
中国の兵器体系は、ドイツからの輸入に頼って
いたので、口径を揃えることで現地調達や物資
の支援に互換性が生じます。
そして自動小銃は、近接戦闘と自動小銃の命中
率を上げるために、従来の38式歩兵銃に使用
していた6.5ミリ弾を使用するものを開発し
ます。
小口径低反動の6.5ミリ弾は、自動小銃には
最良の弾薬です。現在主流の5.56ミリ弾の
先駆けといえます。
こうしたことで、歩兵一人当たりの戦闘力を向
上させて少ない人数で最大の効果を上げる様に
します。
中国と戦争を避けた余力は、こうした軍隊の近
代化や疲弊した国内の改善に使います。
そして最大の利点。
太平洋戦争突入の最後通牒となったハルノート
をアメリカが、日本に突きつける理由が無くな
ってしまう事です。
中国と戦争をしていないので、アメリカは、日
本への通商条約の破棄や禁輸処置をとる理由が
無くなってしまうのです。
ついでに、中国の市場を満州を含めアメリカと
分かち合うことで、同盟ではありませんが、友
好状態となり戦争する理由も無くなります。
中国と戦争をしないだけで実は、太平洋戦争は
発生しないのです。
米国とは、仲良くしたほうが得?
日本は、太平洋戦争以前、アメリカから様々な
物資を輸入していました。
石油、石油精製品(ガソリンなど)、航空機に
使う機器や潤滑油。武器を製造するのに欠かせ
ない良質な鉄屑。工作機械等々。
アメリカから見ても日本は、上客です。
国交関係は、良好だったといいます。
そして、富める国アメリカへの垂涎の眼差し。
一応互いに軍隊は、仮想敵国としていましたけ
ど、当時の日本の識者は、アメリカへの輸入依
存度と国力の差を知っていましたので、戦争な
どとんでもない事だと認識していました。
なにせ石油(製品を含む)の80%以上をアメ
リカからの輸入に頼っていた日本です。
国力の差も大きすぎて、少しでもアメリカの実
情に触れれば対米戦など考え付きません。
しかし、史実では、中国への侵攻をアメリカは
快く思わず、様々な輸出規制を掛けて日本に圧
力をかけて、1941年には、仏印進駐を理由
に石油の禁輸をします。
最終的には、最後通牒であるハルノートで、中
国からの撤退を要求してきます。
ここにおいて、日本は、アメリカに宣戦布告す
る決意を固めます。
さて、今回の歴史のイフでは、中国への侵攻も
無く仏印進駐もありません。そのため、アメリ
カの圧力は、皆無で、むしろ貿易は、盛んにな
っています。
そして、満州地域の防衛のためにアメリカ軍に
も駐留してもらいます。もちろん在留アメリカ
人の保護が名目ですが、ソ連の南下に対する抑
止力です。
満州にアメリカも居るということで、日ソの国
境紛争ノモンハン事変もおきません。
仮に、国境紛争になっても、史実と違い、日本
軍は、機械化した近代的な陸軍編成になってい
るし、強力な戦車も導入するので壊滅的な打撃
を受けるという事もありません。
あれれ、太平洋戦争に勝つというイフ以前に戦
争にならないじゃないですか。
そうです。中国と戦争をせずに満州国を国際連
盟に認めさせアメリカと共同開発するという時
点で戦わずして勝ったようなものです。
日本は、この友好関係の間に、アメリカの技術
力、特に大量生産のノウハウを学び、石油製品
の備蓄と、原油精製能力を手に入れます。
史実では、当時中立国だったアメリカは、対ド
イツ戦を戦うイギリスを軍事的に支援するため
にドイツと同盟国だった日本に先に手を出させ
るために必死でした。
ルーズベルト大統領は、戦争をしたかったとい
うのが本音のようです。また、日本の軍事力を
過小評価していました。
イフの世界では、恐らく日独伊三国同盟は、締
結されていないはずです。それは、同盟する理
由が無いし、満州や中国での利権でアメリカと
半ば同盟関係にあるので、出来ないはずです。
香港防衛のためと中国利権の獲得のために日英
同盟も復活するかもしれません。
ドイツと同盟関係でない日本と戦争する理由が
無くなります。
欧州戦線も、日本がイフの状態なら、戦争に巻
き込むのは、難しく、アメリカが参戦出来ない
と、ドイツ軍は、押しまくりです。
ついでに、満州地域が、軍事的に強化されてい
るイフの世界では、ドイツがソ連を攻めても極
東のソ連軍を動かせないのでモスクワが陥落す
る可能性もあります。
そしてアメリカが参戦出来ないので、イギリス
は、ノルマンディー上陸作戦を自国だけで行う
状況になり、おそらく兵力不足で失敗に終わり
西部戦線は、ドイツの占領下のままです。
戦争で疲弊する欧州。対して対中貿易で富める
日米。
日本の歴史の歯車が少し違うだけで世界情勢も
変化する。それが歴史のイフです。
石油が現代の戦争を決める
日本は、今も昔も石油のほとんどを輸入に頼っ
ています。
現代は、中東が約80%ですが、戦前は、アメ
リカからの輸入が約80%でした。
その輸入量は、禁輸直前1941年で970万
キロリットル。日本の備蓄量が、840万キロ
リットル。年間消費量が約470万キロリット
ルです。
もし、禁輸となったら2年と持ちません。
因みに現代の日本の備蓄量は、8475万キロ
リットルだそうです。でも213日分です。
当時の石油精製能力は、民間8社、陸海軍3か
所の精製施設で日産11万6000バレル。
米国が、日産466万バレルです。
これも参考までに現代日本の生産ピーク時の精
製量は、594万バレルだそうです。
戦前日本の石油、特に石油製品(ガソリン等)
は、そのほとんどがアメリカからの輸入です。
参考までに、零戦の取説を読むと、使用する潤
滑油は、テキサコ・エアプレーン油と書いてい
ます。もちろんアメリカ製です。
恐らく開戦前に大量に輸入して備蓄していた物
を使って戦争に突入したと思います。
これでアメリカと戦争をしようとした史実での
指導者は、よほど視野が狭いか馬鹿だったので
はと思わざるを得ません。
特に航空機に使用する高オクタン価のガソリン
は、アメリカ一択です。
日本で精製出来たのは、87~92オクタンま
でです。試験的に100オクタンを製造したそ
うですが、ごく僅かです。
アメリカは、普通に航空機用は、100オクタ
ンです。
実は、史実では、ある時まで100オクタンガ
ソリンを精製するプラントを購入する直前まで
いっていたそうです。
1934年12月に、日中戦争を理由としたモ
ラル・エンバーゴ(道義的輸出禁止)で、計画
は、白紙になってしまいました。
なんで航空機用のガソリンのオクタン価に拘る
のか?それは、次の章の表を見ると一目瞭然で
す。
スーパー零戦の誕生

この表は、当時代表的だった海軍機と各オクタ
ン価での最高速度を表しています。
因みに陸軍機は、海軍機よりもう少し低いオク
タン価のガソリンを使用していました。
同じ国の軍隊なのに航空機の燃料のオクタン価
が違うとは、縦割り行政の悪い一例です。
表の最後の「震電」は、試作機なのですが、参
考までに載せてみました。
緑文字が、日本が精製出来た航空揮発油92オ
クタンの最高速度です。史実の速度です。
右端の青字は、アメリカの標準100オクタン
の場合の最高速度です。
戦中は、アメリカは、それ以上の100オクタ
ン/グレード140を使用したといいます。
100オクタンだと有名な零戦が、21型で時
速591.8キロ。52型なら時速623.8
キロです。これは、太平洋戦争中盤から登場し
零戦を苦しめたF6Fヘルキャットと互角に戦
える速度です。
私が、航空機のガソリンのオクタン価に拘る理
由は、まさにこれにあります。
史実でも、墜落したアメリカ軍機から抜いたガ
ソリンを日本軍機に使用したところ速度が上が
ったとの報告が有ります。
また、アメリカ軍が、戦後のテストで陸軍の四
式戦闘機「疾風」をグレード140オクタンで
アメリカ製の点火プラグを使いテスト飛行した
ところ最大速度は、時速689キロを出したそ
うです。
これは、太平洋戦争後半に日本軍を苦しめたP
51マスタングDの時速700キロに迫るもの
で、同じオクタン価なら格闘戦に優れる日本軍
機のほうが有利だということです。
イフの世界では、アメリカも流石に140オク
タンのガソリンは、機密なので渡さないとして
精製可能だった100オクタンで話を進めてい
きたいと思います。
参考は、有名すぎる零戦をモデルにします。
史実では、当時1000馬力級のエンジンは、
中島製の「栄」エンジンですが、零戦を開発し
た三菱製の「金星」エンジンが、採用されたと
思います。
「栄」エンジンも小型軽量で性能も良かったの
ですがチューンによる出力向上に限界が見える
ので、「栄」より若干大きく重くなりますが、
発展性が期待できる「金星」を選択したと思い
ます。
しかも、エンジンの製造開発には、満州移住で
来たユダヤ人技師も参画するので、工作精度も
性能も史実より上になります。
金星エンジンは、92オクタンでも後期型は、
1500馬力を発生しますので、太平洋戦争中
盤からは、更に性能の高い零戦が出現すること
になります。
イフの零戦は、開発段階から1500馬力以上
を見込めて、最高速度は、時速630キロ以上
と仮定します。この速度は、史実のアメリカ軍
機の太平洋戦争中盤からの速度です。
出力に余裕がある分、機体を頑丈に設計して、
急降下速度制限も時速850キロにします。
(史実では、21型は、時速630キロ、5
2型で時速740キロです。)
因みにアメリカのF6Fの急降下制限速度は
時速769キロです。
燃料タンクも防弾仕様。自動消火装置完備。
そして武装も13.2ミリ機銃4丁に強化。
操縦席後方には、防弾板も装備します。
史実では、20ミリ機銃を装備するのですが、
戦闘機との格闘戦を重視し、装弾数が多く威力
のある13.2ミリにします。装弾数は、アメ
リカ軍のF4Fワイルドキャットを参考にして
1銃あたり400発とします。
イフの日本は、陸海軍が別々に開発競争するの
ではなく、兵器開発省が、開発を監督するので
史実の陸軍機の12.7ミリ機銃の炸裂弾を1
3.2ミリ機銃にも採用します。
これは、史実で連合国軍の戦闘機が、命中した
時に爆発するので20ミリ機銃と勘違いした代
物です。当然威力があります。
こうして撃たれ強く、高速、強武装のスーパー
零戦が完成します。
軽やかな格闘戦能力と、強武装、耐久性の高さ
は、もしアメリカと戦争になっても戦争終盤ま
で戦闘能力を維持して制空権を取り、戦争を有
利に導きます。
このことは、他の機体にも言え、艦上爆撃機の
「彗星」などは、アメリカの戦闘機が、追えな
い艦爆になり攻撃力もそうですが、生存性も大
幅に向上します。
米国は、大艦巨砲主義
太平洋戦争は、アメリカの多数の空母機動部隊
に徹底的にやられたイメージを持つ人が多いと
思いますが、あれは、先に日本が空母機動部隊
の集中運用の手本を真珠湾攻撃で見せてしまっ
たことに端を発します。
空母の有用性を知ったアメリカは、その膨大な
工業力、造船力を発揮して、圧倒的多数の大型
正規空母と商船改造の小型空母を多数竣工させ
ました。
しかし、太平洋戦争開始前は、日本のほうが、
空母が多かったのです。海戦直前のアメリカの
主要な軍艦の数と日本を比べてみましょう。
アメリカ( )は、太平洋地域配備数
戦艦・・・・17隻(9隻)
重巡洋艦・・18隻(12隻)
軽巡洋艦・・19隻(9隻)
航空母艦・・・7隻(3隻)
駆逐艦・・214隻(54隻)
潜水艦・・114隻(25隻)
日本
戦艦・・・・11隻(大和を含む)
重巡洋艦・・18隻
軽巡洋艦・・20隻
航空母艦・・・9隻
駆逐艦・・112隻
潜水艦・・・64隻
このように、アメリカは、太平洋だけでなく大
西洋にも配備しないといけないので、太平洋地
域に配備された艦艇数と、日本と互角に戦えま
す。特に空母の数では、日本が圧倒してます。
また、当時の海軍は、戦艦至上主義です。戦艦
の数こそ海軍力だと信じていました。
大艦巨砲主義です。
第一次世界大戦の後、戦艦の保有数、装備する
主砲の口径を制限する様になります。
当時最大の主砲の口径は、16インチ(約40
センチ)で、世界に7隻しかありませんでした
が、その内2隻を日本が持っていました。
ルーズベルト大統領が、海軍長官に「日本と戦
争したら勝てるか?」という質問に「日本には
長門と陸奥がいます」と答えさせたほど、巨砲
を積む戦艦は、重要視されていました。
ワシントン海軍軍縮条約(各国の戦艦、搭載主
砲の口径、補助艦艇の数に制限を設ける条約)
の制限明けには、各国とも新たな戦艦を開発す
る様になりました。
日本は、条約明けに口径18インチ(約46セ
ンチ)の巨大戦艦の建造を始めます。
それは、アメリカの戦艦は、パナマ運河通過の
制約があって、容易に大型の戦艦を作れないと
の推測から、敵の射程外から攻撃できる18イ
ンチ主砲を装備した戦艦を持つことで優位に立
てると思ったからです。
それが戦艦大和と武蔵です。
2艦は、秘密裏に建造されて大和は、1941
年12月に就役、武蔵は、1942年8月に就
役します。
その存在は、徹底的に秘密に守られて、詳細を
アメリカが知るのは、終戦後となります。
さて、イフの世界では、どうでしょうか?
私は、装甲などは、極秘にしつつ主砲は、18
インチ9門と敢えてアメリカに情報を漏洩しま
す。しかも史実では、途中から空母に改造され
た信濃も建造中と情報を漏らします。
相手より強い又は、互角な戦艦を作るのが世界
の潮流です。しかし、アメリカには、パナマ運
河の制約があって、18インチ砲を9門積める
巨艦は、作れても運用が難しい。
史実では、太平洋戦争中に就役したアメリカの
戦艦は、10隻です。
アメリカは、数で補うか、18インチ砲を6門
程度に減らした戦艦を建造するかで迷います。
恐らく、数で対抗しようとするはずです。
大型空母を建造するドッグは、新戦艦の建造の
ために埋まります。いくらアメリカでも、建造
ドッグは、容易に増やせませんので、空母は、
疎かになります。
当時の考えでは、艦載機で戦艦を撃沈するのは
難しいと思っていました。戦艦には、戦艦で戦
うのが常識でした。
しかし、日本海軍は、航空機で戦艦を撃沈でき
ると考え空母の開発や艦載機の開発に邁進して
いました。
イフの世界の日本は、中国戦線での莫大な戦費
が、発生しないので、翔鶴型空母を2隻ではな
く4隻建造します。そして中型空母も3~4隻
新たに建造します。
航空優勢です。
もしアメリカと戦争になっても、真珠湾奇襲は
行わずに、小笠原諸島沖に進撃してくるアメリ
カの大艦隊を迎え撃ちます。
国際連盟に加盟したまま合法的に満州国を建国
して、日中戦争は、していないイフの世界では
アメリカとの戦争は、史実より少し遅れるはず
です。
ハルノートを突き付けたり禁輸処置をとれない
アメリカは、ルーズベルトの欧州戦線への参加
意欲から、アメリカ側から日本へ宣戦布告にな
るかもしれません。
アメリカは、日本軍を過小評価していたので、
対日戦は、楽勝と考え、日本帝国主義の解体を
名目に戦争を仕掛けるという構図です。
ここで重要なのは、日本から宣戦布告しないこ
とです。
しかし、日本軍は、日中戦争をしていないので
陸海軍共に近代化し特に海軍は、戦艦大和と武
蔵を史実より少し早く竣工させています。
そのうえ100オクタンガソリンの精製にも成
功して石油禁輸も受けていないので、日本は、
強力な航空戦力を保有しています。
イフの太平洋戦争は、ハワイパールハーバーを
出撃したアメリカの大艦隊との決戦から始まり
ます。
戦艦同士の激しい砲撃戦を予想していたアメリ
カ艦隊は、まず先ほどのスーパー零戦などの優
秀な艦載機の迎撃に会い、持っている航空兵力
の大半を失います。
そこに高速力の艦爆や艦攻の猛襲を受けます。
初戦では、アメリカ海軍の艦艇には、レーダー
が装備されていないので、航空機の攻撃は、熾
烈なものになります。
アメリカの空母は、真っ先に撃沈されます。
しかし、アメリカに航空機優勢を悟られぬため
に敢えて戦艦には急降下爆撃で射撃装置の破壊
して、護衛艦艇への攻撃に専念します。
そして制空権を失ったアメリカ艦隊は、長射程
大威力の酸素魚雷を装備した日本の駆逐艦から
魚雷の飽和攻撃を受けます。
酸素魚雷とは、燃焼剤に圧縮空気ではなく酸素
を使うために、気泡が出ずに魚雷の航跡が見え
ないステルス魚雷です。
しかも大きな空気タンクが要らないので炸薬量
を増やし威力が増します。
アメリカ軍は、この見えない強力な魚雷に翻弄
されます。
そして、アメリカの駆逐艦や巡洋艦は、イギリ
スから「飢えた狼」と称された強力な日本の重
巡洋艦の攻撃を受けて壊滅状態。
そこに、丸裸になった戦艦群を長射程で18イ
ンチ砲の巨弾が襲います。
アメリカの戦艦は、艦載機の攻撃で損傷してい
るので、まともに戦うことも出来ずに次々と深
海に姿を消します。
イフの太平洋戦争では、日本海軍が初戦で圧勝
するはずです。
そして太平洋艦隊を失ったアメリカは、日本へ
の侵攻の足掛かりを失います。
日本は、制海権、制空権を手中に収めてハワイ
を占領します。そして、潜水艦による通商破壊
工作を行います。
そして空母機動部隊によるアメリカ西海岸の空
襲やパナマ運河の破壊を行います。
アメリカ国民は、厭戦気分が広がり日本からの
呼びかけで早期に講和が行われます。
太平洋艦隊を初戦で失った意味は、アメリカに
とっては、それだけ衝撃的だったと言えます。
太平洋戦争の気配
イフの太平洋戦争を書いた小説や、描いた漫画
は、たくさんあります。
しかし、多くは、タイムスリップしたり時空が
歪んで先が読める登場人物の出現で、日本が新
技術を先に手に入れて戦争に勝つというもので
す。
しかし、私のイフは、あくまで史実を重視して
より現実的な解釈で考察しています。
先程の、中国と戦争をせずに満州国をユダヤ人
の移住という大義名分で、しかもアメリカ資本
を誘致することで、日本の工業力を発展させた
結果史実より高性能な兵器が生まれるという発
想です。
特にスーパー零戦などは、100オクタンのガ
ソリンさえあれば十分に実現可能なものです。
航空機に関しては、同じガソリンを使えば、日
本のほうが速いということは、空力性能が良か
ったことを示しています。
ほんの少し、日本の指導者たちに先見の明があ
れば、どれも実現可能でした。
現に、日本は、戦争に負けた後、焼け野原から
アメリカの資本を受け入れて、あっという間に
世界の工場になってしまいます。
そしてGDPは、世界2位まで上り詰めます。
イフの日本では、どうでしょうか。
中国と戦争をしない日本の軍事費は、削減でき
海軍力を強化し、削減した陸軍も機械化して装
備も近代化できます。
なにより、中国の内戦に巻き込まれず、逆に蒋
介石を支援するために武器や日用品を売ること
で戦争特需が起きます。
中国は、とても広い国です。日本軍との戦争が
無くても、各地の軍閥や、共産党軍との戦闘は
長期に及びます。
航空支援と称して義勇軍として実戦経験を積む
こともアメリカがしていたように行います。
そして何より重要なのは、日本が、アメリカと
戦争する理由が無い事です。
日米関係は、良好。太平洋は、互いの貿易で盛
んになります。
欧州では、史実通りにドイツの快進撃でフラン
スが降伏し、イギリスは、ドイツの空襲に辛く
も勝利しますが、アメリカの支援が無いために
反攻作戦が準備できません。
そしてドイツは、ソ連に侵攻するバルバロッサ
作戦を発動しますが、極東に配備されていたジ
ューコフ将軍の軍団が、日本とアメリカの満州
での軍備増強の背景では、東部戦線に移動でき
ません。
ソ連は、日本と戦争をしていない中立していた
アメリカからの膨大な支援をうけられません。
史実のレンドリース法で支援を受けた物資の一
部を紹介しましょう。
航空機14,795機
ジープ51,503台
トラック37,5883台
戦車7,056台
食料4,478,000トン
綿花106,893,000トン
火薬345,735トン
機関銃131,655丁
軍靴15,917,001足
石油製品2,670,000トン等
これらの支援を受けなければソ連軍は、まとも
にドイツ軍と戦うことが出来ません。
そのためモスクワは、陥落。ソ連は、工場を更
に東部に疎開させ抗戦を続けますが、劣勢に立
たされます。しかし、冬に強く懐の深いソ連で
の戦闘は、ドイツ軍を苦しめます。
補給線が伸びて広大なソ連全体を制圧すること
は、不可能ですから、戦闘は、主要都市と鉱物
資源のある地域に限定されて戦線は、膠着状態
になるはずです。
ソ連が窮地にある状況で、中国では、中国共産
党が、ソ連からの支援を受けられず、国民党軍
にジリジリと押されていきます。
更に、中国の共産化を防ぐという理由で、中国
戦線では、日本やアメリカが義勇軍として戦闘
に参加します。
日本は、共産主義に懐疑的で取り締まりも強か
ったそうです。かの悪名高い特高警察は、ソ連
や中国共産党の動きをかなり正確に捉え共産主
義者を多数逮捕拘禁していました。
戦後アメリカが、対ソ連のためにやったレッド
パージ通称赤狩りは、戦中にGHQが、共産主
義者を開放してしまった後のことです。
戦前は、アメリカにも多数のソ連の工作員が潜
入していましたが、その脅威を知ったのは、戦
後のことです。
恐らくイフの世界では、そうしたソ連の工作員
は、日本やアメリカに秘密裏に働きかけて日米
関係を壊す陰謀を廻らすことでしょう。
しかしそれらは、日本の諜報活動で阻止されま
す。日米、そしてイギリスは、協調して対社会
主義、共産主義の体勢をとりますので、枢軸国
との三つ巴の戦いになります。
それに対して太平洋地域では、穏やかな状況で
戦争の気配は、起きません。
太平洋戦争が起きないと?
イフの世界では、日本が枢軸国でなくアメリカ
とも仲良くしているので結局、太平洋では、戦
争が起きません。
逆に、ユダヤ人保護名目の満州国が栄え、日本
は、技術力も手に入れて且つアメリカの資本を
受け入れて工業力が伸びます。
史実の日中戦争での人員の損失、優秀な職人の
損失が無いために技術力は、温存されます。
史実でも開発を進めていた核兵器が、完成した
かもしれません。実際にウラン濃縮プラントは
日本が世界で2番目に製造していました。
GHQ(アメリカの占領軍)が、終戦後これら
の施設を真っ先に破壊したそうです。
理論も製造方法も知っていた。ウラン鉱石は、
朝鮮半島で産出します。ただ予算と人員が不足
して完成に至らなかったのです。
日本の核武装は、ソ連への強い抑止力となりま
す。
史実の戦後、東西冷戦は、がらっと様相が変わ
ってしまいます。
日本は、世界の工場となってアメリカに安い工
業製品を輸出したり、中国の国民党に物資や兵
器を輸出。そしてイギリスへも同様の支援を行
います。
複雑な欧州戦線は、高みの見物です。
アメリカもイギリスの後方支援で潤い、日本と
の戦争が無いために無駄に艦船を作ることも無
く多額の出費を抑えられます。
日本経済は、復興して社会インフラも整備が進
み目指せアメリカで日本は、活気づきます。
海軍力は、維持したまま陸軍は、縮小し極東の
満州とソ連の国境を要塞化して、ここに防衛力
を集中させます。
もちろん陸軍は、戦争が無いために無駄な出費
が無いため、強力な戦車や部隊の機械化を進め
近代化させます。
工業力が近代化した日本では、それは、無理な
ことでは、ありません。
イフの日本では、アメリカの空襲も無いので昭
和レトロ溢れる街並みが残りつつ近代化して、
全国津々浦々に高速道路が整備されて、モータ
リゼーションが早くに発生します。
弾丸列車構想も実現し、後の新幹線へと発展し
ていきます。
軍の近代化の技術は、民生用にも応用されて世
の中は、急速に便利になっていきます。
第二次世界大戦は、欧州戦争の様相を呈して日
本やアメリカは、犠牲も無く繁栄を極めます。
もしかすると、日英同盟が復活して地域が限定
的ですが、北アフリカなどに日本軍が派遣され
る可能性もあります。
しかし、本格的な欧州での戦争には、参戦せず
イフの世界での機械化された陸軍の一部の派遣
と海軍の派遣に留まるはずです。
派遣される海軍は、スーパー零戦主体に搭載し
た制空機動部隊と艦砲射撃用の旧式戦艦です。
この地域では、ドイツ海軍は、ほとんど居ない
ので旧式でも猛威を振るうはずです。
もしかすると、航続距離の長いスーパー零戦が
イギリスの爆撃機の護衛に参加するかもしれま
せん。いやその可能性は、大です。
ドイツの空で日本の零戦が大暴れする。意外な
展開になるかもしれません。なにせ、ドイツの
戦闘機は、日本の零戦の航続距離の三分の一以
下です。
イフのスーパー零戦は、ドイツ空軍の脅威にな
ると思います。
しかし欧州の戦争は、中立を決め込んだアメリ
カが参戦しないし、日本も一部での協力なので
戦争が長引きます。
アジアに目を向けると、日本軍が展開しないた
め依然欧州の植民地のままです。
つまり、東南アジア諸国の独立が2~30年遅
れるという感じです。
欧州の植民地なので日本も支援が出来ません。
しかし、疲弊した欧州の帝国主義に対立する独
立運動は、起きるはずです。
史実では、東南アジア諸国の軍事訓練や戦後の
残留日本兵の独立運動支援などは、おきないの
で苦戦するはずです。
反面、朝鮮半島や台湾、パラオ諸島などは、イ
ンフラがもっと整備されて近代化して、日本の
指導の下で独立するかもしれません。
ただ、朝鮮半島は、対ソ連や中国を牽制するた
めの軍隊が駐留します。今でいう在韓米軍みた
いな感じです。
太平洋戦争が無いだけで日本は、軍国主義は、
多少残りますけど、緩やかな経済発展をして平
和に人口増加していくと思います。
まとめ
戦わずして勝つ。
敢えて、中国との戦争を回避する。戦艦大和の
情報をリークしたり満州国を国連に承認させて
ユダヤ人保護を名目に発展させていく。
ちょっとした決断の差で、日本は、孤立せずに
アメリカと逆に仲が良くなり、経済発展を後押
ししてもらえる。
混乱が続く欧州やソ連の東部戦線を横目に、世
界2位の経済発展をいち早く成し遂げる日本。
まさかと思う人が居ると思いますが、史実では
焼け野原から経済復興してGDP世界第二位ま
で上り詰めた日本です。
ポテンシャルは、十分にあったのです。
太平洋戦争、いや中国との戦争をしなければ、
300万人以上の犠牲を伴うことなく、もっと
早くに高度経済成長を迎えたはずです。
戦争は、戦うだけが戦争ではありません。
壮大な戦略の元で経済的に勝利を収める。
史実を少し変えるだけでもそれは、可能だった
のです。

